この世界ができたお話

昔々―― それはまだ、地上と天界とが繋がっていた頃のお話です。
そこは人間と天使たちが仲良く暮らす、この世の楽園でした。
誰もが幸せに暮らしていたのですが、その幸せは長くは続きませんでした。
人間と天使たちがいがみ合いを始めたのです。
きっかけは些細なことでした。
しかし争いは次第に大きくなり、やがて楽園は荒れ果てた世界となってしまいました。
このままでは世界が駄目になってしまうと考えた人間たちは、彼らに天界へ帰ってもらうよう言いました。
天使たちはその通りにしましたが、その時一緒に空を連れていってしまったのです。
そして二度と地上と天界が行き来できぬよう、二つの世界の間に灰色の仕切りを敷いてしまいました。
それはそれは長い仕切りでした。
こうして人間たちは天使たちに空を奪われ、二度と青い空を見ることができなくなってしまったのです。
(教科書『世界の成り立ち』より抜粋)


小説TOP     NEXT